メンバーに 「ありがとう」

毎年、深夜3時頃まで製造をする23日の夜 (ちなみに、去年の俺は睡眠時間30分)。 今年もその日が来るのが怖かった。


当日の製造メンバーは5人。
俺、S女史、臨時で手伝ってくれる和菓子職人のSさん。 ここまでは去年までの経験者。
そして、今年夏加入のバイトのTさん、社員のSさん。 この二人はまったくの未経験者。
そんな半分素人の集団を、上手くまとめられるか本当に不安だった。


未経験者の二人は生クリームのナッペ(パレット・ナイフで塗る事)が出来ない。 必然的に、サンドするイチゴをスライスしたり、飾りを準備してそれをケーキにのせる等の仕事が担当となる。
作業が効率的に流れるように、どう仕事を配分するか頭の中で何度もシミュレーションした。 それでも、作業効率に無駄が出て製造が滞る事が起きないか心配だった。


去年まではそれが起こっていたのだ。 今年加入の二人の代わりに、去年は販売の人が二人手伝ってくれていた。 その二人では、やはり上手く回せなかったのである。


「去年の製造終了は3:00。 いったい今年は何時になるのやら......」


そんな思いが頭の中にあった。


でもそんな時、『医龍2』 の最終回を見た。
朝田を初めとしたチーム全員が自分の持てる能力を持ち寄り、一丸となって手術で闘っていた。
ドラマのお話ではあるけれど、そんなチームが羨ましかった。
でも思った。
うちらも、5人の持てる力で精一杯頑張ろう、と......。


そして、23日の夜。
製造に当たるメンバーに無駄な動きが無いように指示するのが、一応シェフの俺の仕事。 最初は、新人のSさんなどに 「これを準備したら、次はこの仕事にまわって」 などと指示を出していた。


ところが、作業開始から2時間位してからだろうか。 俺の指示のパターンを読んだのだろうか、こちらが指示を出す前に新人のSさんとTさんが話し合って 「次はこれですか?」 と次の作業の進め方を訊いてきた。 しかも、二人で上手く仕事を配分し合って。
これには正直驚いた。


そしてもう一つ驚いた事。
それは、S女史が上手くユーティリティー・プレイヤーを演じてくれた事。
ちょっと手が空いた時に、隣の人のボールにナッペする生クリームを足してあげたり、次の作業の道具を揃えたりするのは、去年までは俺の仕事だった。
ところが今年は、S女史も自然とそれをやってくれていたのだ。
これには助かった。 俺の仕事の負担がグンと減った。


その様に、こちらの期待以上に動いてくれたメンバーのおかげか、23日の夜は去年とまったく同じ製造数で、なんと23:30には製造を終了できた。 実に、去年より3時間30分も短縮できた。 これにも驚いた。


今改めて、メンバーの皆にお礼を言いたい。
皆、良く動いて、そして頑張ってくれてありがとう!!
本当にお疲れ様でした!!